基本情報対策 企業・法務

今回の基本情報対策は、企業と法務です。業務委託契約/開発委託契約に関する問題や、ウイルス作成罪に関する問題を選びました。派遣・委任・請負といった契約の違いを問う問題がよく出題されるので、どういった契約の違いがあるのかを頭に入れておきましょう。

問題 1

請負契約を締結していても,労働者派遣とみなされる受託者の行為はどれか。 (基本情報技術者試験 平成25年春期 午前問79)

(A) 休暇取得のルールを発注者側の指示に従って取り決める。

(B) 業務の遂行に関する指導や評価を自ら実施する。

(C) 勤務に関する規律や職場秩序の保持を実施する。

(D) 発注者の業務上の要請を受託者側の責任者が窓口となって受け付ける。

正解は A


請負契約とは、受託者が仕事を完成させることを約束し、発注者がその結果に報酬を支払う契約です。発注者は受託者に直接指揮命令できません。

労働者派遣
派遣会社から人材を確保する
発注者は、派遣された者に直接指揮命令できる

委任契約
契約先の会社に仕事を任せる
発注者は、契約先の作業者に直接指揮命令できない

請負契約
契約先に仕事を完成させてもらう
発注者は、契約先の作業者に直接指揮命令できない

(A) 休暇取得のルールを発注者側の指示に従って取り決める。

これは正しいです。請負契約では、出勤怠・勤務時間の管理は受託者で行います。発注者で行うと労働者派遣とみなされ、偽装請負になります。

(B) 業務の遂行に関する指導や評価を自ら実施する。

これは誤りです。請負契約では、業務を遂行する上での指示や評価は、受託者が行います。

(C) 勤務に関する規律や職場秩序の保持を実施する。

これは誤りです。請負契約では、職場に関するルールの管理は、受託者が行います。

(D) 発注者の業務上の要請を受託者側の責任者が窓口となって受け付ける。

これは誤りです。請負契約では、業務に関する指示を、発注者が、受託者側の監督者に対して行うことには問題ありません。

問題 2

ソフトウェア開発を外部業者へ委託する際に,納品後一定の期間内に発見された不具合を無償で修復してもらう根拠となる項目として,契約書に記載するものはどれか (基本情報技術者試験 平成26年春期 午前問79)

(A) 瑕疵(かし)担保責任

(B) 善管注意義務

(C) 損害賠償責任

(D) 秘密保持義務

正解は A


瑕疵(かし)担保責任とは、作業を業者へ委託する際、契約内の作業にミスがあった場合に、受託者が負う責任のことです。

(A) 瑕疵(かし)担保責任

これは正しいです。

(B) 善管注意義務

これは誤りです。善管注意義務は、管理者は、管理者の立場としての注意をもって業務しなければならない、という義務のことです。

(C) 損害賠償責任

これは誤りです。損害賠償責任は、故意や過失によって、利用者に損害を与えた場合に、当事者が負う責任のことです。

(D) 秘密保持義務

これは誤りです。秘密保持義務は、労働者が職務中に知り得た情報を、外部に漏らしてはならない、という義務のことです。

問題 3

労働者派遣における派遣元の責任はどれか。 (基本情報技術者試験 平成26年春期 午前問80)

(A) 派遣先での時間外労働に関する法令上の届出

(B) 派遣労働者に指示する業務の遂行状況の管理

(C) 派遣労働者の休日や休憩時間の適切な取得に関する管理

(D) 派遣労働者の日々の就業で必要な職場環境の整備

正解は A


労働者派遣では、派遣元が、派遣先での時間外労働に関する協定を締結し、届け出を行う必要があります。

(A) 派遣先での時間外労働に関する法令上の届出

これは正しいです。

(B) 派遣労働者に指示する業務の遂行状況の管理

これは誤りです。派遣者の業務の遂行状況の管理は、派遣先の責任で行います。

(C) 派遣労働者の休日や休憩時間の適切な取得に関する管理

これは誤りです。休日や休憩時間の管理は、派遣先の責任で行います。

(D) 派遣労働者の日々の就業で必要な職場環境の整備

これは誤りです。職場環境の整備は、派遣先の責任で行います。

問題 4

刑法における,いわゆるコンピュータウイルスに関する罪となるものはどれか。 (基本情報技術者試験 平成27年春期 午前問79)

(A) ウイルス対策ソフトの開発,試験のために,新しいウイルスを作成した。

(B) 自分に送られてきたウイルスに感染した電子メールを,それとは知らずに他者に転送した。

(C) 自分に送られてきたウイルスを発見し,ウイルスであることを明示してウイルス対策組織へ提供した

(D) 他人が作成したウイルスを発見し,後日これを第三者のコンピュータで動作させる目的で保管した。

正解は D


コンピュータウイルスに関する罪は、正当な理由なしで、ウイルスを他人のコンピュータで動作させることです。

(A) ウイルス対策ソフトの開発,試験のために,新しいウイルスを作成した。

これは誤りです。正当な理由があります。

(B) 自分に送られてきたウイルスに感染した電子メールを,それとは知らずに他者に転送した。

これは誤りです。他人のコンピュータで動作させる意図がなければ、正当な理由となります。

(C) 自分に送られてきたウイルスを発見し,ウイルスであることを明示してウイルス対策組織へ提供した

これは誤りです。正当な理由があります。

(D) 他人が作成したウイルスを発見し,後日これを第三者のコンピュータで動作させる目的で保管した。

これは正しいです。犯罪になります。