
今回の基本情報対策は、プロジェクトマネジメントです。3回目になります。リスク管理、WBSに関する問題、ステークホルダに関する問題などを選びました。「リスク」はこれから起こる可能性のある問題のことですが、リスクにもいくつか種類があるので、それぞれ特徴を押えておきましょう。
問題 1
システム開発の進捗管理やソフトウェアの品質管理などで用いられるPDCAサイクルの"P","D","C","A"は,それぞれ英単語の頭文字をとったものである。3番目の文字"C"が表す単語はどれか。 (基本情報技術者試験 平成26年春期 午前問51)
(A) Challenge
(B) Change
(C) Check
(D) Control
正解は C。
PDCAとは、業務を効率的に進めるために、計画・実行、評価・改善を繰り返して行うことです。
PDCA
(A) Challenge
これは誤りです。Challenge(挑戦)は、PDCAとして不適切です。
(B) Change
これは誤りです。Change(変更)は、PDCAとして不適切です。
(C) Check
これは正しいです。
(D) Control
これは誤りです。Control(制御)は、PDCAとして不適切です。
問題 2
PMBOKによれば,プロジェクトのリスクマネジメントにおいて,脅威に対して適用できる対応戦略と好機に対して適用できる対応戦略がある。脅威に対して適用できる対応戦略はどれか。 (基本情報技術者試験 平成26年秋季 午前問55)
(A) 活用
(B) 強化
(C) 共有
(D) 受容
正解は D。
PMBOKでは、プロジェクトに対して脅威となるリスクと、好機となるリスクの2種類があり、それぞれに対応戦略があります。
脅威となるリスクの対応戦略
回避 リスクの影響を避ける
転嫁 リスクを他社へ移転する
軽減 リスクを受容できる程度に低減する
受容 リスクをそのまま受け入れる
好機となるリスクの対応戦略
活用 好機を確実にするよう対応する
共有 好機を得やすい人と組む
強化 好機の影響を増加させる
受容 好機をそのまま受け入れる
(A) 活用
これは誤りです。リスク活用は、好機を確実にするよう対応することであり、好機となるリスクの対応戦略です。
(B) 強化
これは誤りです。リスク強化は、好機の影響を増加させることであり、好機となるリスクの対応戦略です。
(C) 共有
これは誤りです。リスク共有は、好機を得やすい人と組むことであり、好機となるリスクの対応戦略です。
(D) 受容
これは正しいです。リスク受容は、そのまま受け入れることであり、脅威と好機の両方についての対応戦略です。
問題 3
プロジェクトに関わるステークホルダの説明のうち,適切なものはどれか。 (基本情報技術者試験 平成27年春期 午前問52)
(A) 組織の内部に属しており,組織の外部にいることはない。
(B) プロジェクトに直接参加し,間接的な関与にとどまることはない。
(C) プロジェクトの成果が,自らの利益になる者と不利益になる者がいる。
(D) プロジェクトマネージャのように,個人として特定できることが必要である。
正解は C。
ステークホルダとは、企業の活動の上で、利害関係を持つ人物や団体などのことです。
(A) 組織の内部に属しており,組織の外部にいることはない。
これは誤りです。株主や得意先のように、利害関係があれば組織の外部も含まれます。
(B) プロジェクトに直接参加し,間接的な関与にとどまることはない。
これは誤りです。ステークホルダは直接参加するとは限りません。
(C) プロジェクトの成果が,自らの利益になる者と不利益になる者がいる。
これは正しいです。利害関係があるゆえです。
(D) プロジェクトマネージャのように,個人として特定できることが必要である。
これは誤りです。株主や得意先のように、団体であっても該当します。
問題 4
プロジェクトスコープマネジメントにおいて,WBS作成のプロセスで行うことはどれか。 (基本情報技術者試験 平成27年春期 午前問53)
(A) 作業の工数を算定して,コストを見積もる。
(B) 作業を階層的に細分化する。
(C) 作業を順序付けして,スケジュールとして組み立てる。
(D) 成果物を生成するアクティビティを定義する。
正解は B。
WBSとは、プロジェクトのスケジュール管理に使用され、必要な作業を分解して、階層構造で表す手法です。
WBS(Work Breakdown Structure)
(A) 作業の工数を算定して,コストを見積もる。
これは誤りです。コストマネジメントの説明です。
(B) 作業を階層的に細分化する。
これは正しいです。
(C) 作業を順序付けして,スケジュールとして組み立てる。
これは誤りです。タイムマネジメントの説明です。
(D) 成果物を生成するアクティビティを定義する。
これは誤りです。WBSにより階層化した後に、最下層のワークパッケージを、個々の作業であるアクティビティに分解します。
問題 5
プロジェクトのリスクに対応する戦略として,損害発生時のリスクに備え,損害賠償保険に加入することにした。PMBOKによれば,該当する戦略はどれか (基本情報技術者試験 平成27年秋季 午前問54)
(A) 回避
(B) 軽減
(C) 受容
(D) 転嫁
正解は D。
リスク転嫁とは、リスクを保険会社などの他社へ移して、損失の負担を分担することです。リスク移転とも呼ばれます。
脅威となるリスクの対応戦略
回避 リスクの影響を避ける
転嫁 リスクを他社へ移転する
軽減 リスクを受容できる程度に低減する
受容 リスクをそのまま受け入れる
(A) 回避
これは誤りです。リスク回避は、要求事項の明確化やスコープの縮小などにより、リスクの影響を避けることです。
(B) 軽減
これは誤りです。リスク軽減は、リスクの影響や発生頻度を、受け入れられる程度まで低減させることです。
(C) 受容
これは誤りです。リスク受容は、リスクを取り除く手段が見つからない場合に、プロジェクトの計画を変更せずに受け入れてしまうことです。
(D) 転嫁
これは正しいです。