
今回の基本情報対策は、セキュリティです。2回目になります。メッセージダイジェストや認証局に関する問題のほか、情報セキュリティの3要素に関する問題を選びました。情報セキュリティの3要素というのは、機密性・完全性・可用性のことですが、それぞれ何を意味するかを、答えられるようにしておきましょう。
問題 1
メッセージ認証符号におけるメッセージダイジェストの利用目的はどれか。 (基本情報技術者試験 平成26年春期 午前問36)
(A) メッセージが改ざんされていないことを確認する。
(B) メッセージの暗号化方式を確認する。
(C) メッセージの概要を確認する。
(D) メッセージの秘匿性を確保する。
正解は A。
メッセージダイジェストとは、原文からハッシュ関数により求めた固定長の値であり、改ざんの検知に利用されます。
(A) メッセージが改ざんされていないことを確認する。
これは正しいです。
(B) メッセージの暗号化方式を確認する。
これは誤りです。メッセージダイジェストでは、暗号化方式は確認できません。
(C) メッセージの概要を確認する。
これは誤りです。メッセージダイジェストでは、メッセージの概要は確認できません。
(D) メッセージの秘匿性を確保する。
これは誤りです。メッセージダイジェストでは、秘匿性の確保は行えません。
問題 2
PKI(公開鍵基盤)の認証局が果たす役割はどれか。 (基本情報技術者試験 平成26年春期 午前問37)
(A) 共通鍵を生成する。
(B) 公開鍵を利用しデータの暗号化を行う。
(C) 失効したディジタル証明書の一覧を発行する。
(D) データが改ざんされていないことを検証する。
正解は C。
認証局とは、公開鍵暗号方式のデータ通信において、利用者にディジタル証明書を発行する機関です。証明書の失効処理も行います。
(A) 共通鍵を生成する。
これは誤りです。認証局では、共通鍵の生成は行いません。
(B) 公開鍵を利用しデータの暗号化を行う。
これは誤りです。認証局では、データの暗号化は行いません。
(C) 失効したディジタル証明書の一覧を発行する。
これは正しいです。証明書の紛失や盗用の場合は、失効処理を行いますが、その際に失効した証明書の一覧を発行します。
(D) データが改ざんされていないことを検証する。
これは誤りです。認証局では、改ざんの検証は行いません。
問題 3
情報セキュリティにおける"完全性"を脅かす攻撃はどれか。 (基本情報技術者試験 平成26年春期 午前問39)
(A) Webページの改ざん
(B) システム内に保管されているデータの不正コピー
(C) システムを過負荷状態にするDoS攻撃
(D) 通信内容の盗聴
正解は A。
完全性とは、情報が正確かつ完全であること、つまり改ざんされていないことを保証することです。
情報セキュリティの3要素
機密性
許可された人のみをアクセスできる状態にすること
完全性
情報が改ざん・消去されていないことを保証すること
可用性
利用者が必要時に、確実に情報にアクセスできること
(A) Webページの改ざん
これは正しいです。完全性を脅かす攻撃です。
(B) システム内に保管されているデータの不正コピー
これは誤りです。機密性を脅かす攻撃です。
(C) システムを過負荷状態にするDoS攻撃
これは誤りです。可用性を脅かす攻撃です。
(D) 通信内容の盗聴
これは誤りです。機密性を脅かす攻撃です。
問題 4
会社や団体が,自組織の従業員に貸与するスマートフォンに対して,セキュリティポリシに従った一元的な設定をしたり,業務アプリケーションを配信したりして,スマートフォンの利用状況などを一元管理する仕組みはどれか。 (基本情報技術者試験 平成26年春期 午前問40)
(A) BYOD(Bring Your Own Device)
(B) ECM(Enterprise Contents Management)
(C) LTE(Long Term Evolution)
(D) MDM(Mobile Device Management)
正解は D。
MDMとは、社員のスマートフォンを一元管理し、セキュリティ設定やソフトウェアの配信を行う仕組みです。
MDM = Mobile Device Management
(A) BYOD(Bring Your Own Device)
これは誤りです。BYODは、社員が私用のスマートフォンを業務で活用することです。
(B) ECM(Enterprise Contents Management)
これは誤りです。ECMは、企業や組織の情報を、一元的に蓄積・管理・運用するための仕組みです。
(C) LTE(Long Term Evolution)
これは誤りです。LTEは通信規格の1つです。
(D) MDM(Mobile Device Management)
これは正しいです。
問題 5
緊急事態を装って組織内部の人間からパスワードや機密情報を入手する行為は,どれに分類されるか。 (基本情報技術者試験 平成26年春期 午前問41)
(A) ソーシャルエンジニアリング
(B) トロイの木馬
(C) パスワードクラック
(D) 踏み台攻撃
正解は A。
ソーシャルエンジニアリングとは、コンピュータの利用者から、のぞき見や話術などの社会的な手段で、機密情報を入手することです。
(A) ソーシャルエンジニアリング
これは正しいです。
(B) トロイの木馬
これは誤りです。トロイの木馬は、表面上は問題のないように見せかけて、裏は不正な処理を行うソフトウェアです。
(C) パスワードクラック
これは誤りです。パスワードクラックは、様々な攻撃によって、パスワードを盗み出すことです。
(D) 踏み台攻撃
これは誤りです。踏み台攻撃は、セキュリティ対策の緩いコンピュータを中継して、本来の対象のサーバを攻撃することです。